仕事で使える英語力を身につけたいと思っている技術者や研究者の方に、
技術英語の4技能を鍛える、英語学習法を紹介します。
1.リーディング(Reading)
技術英文を読んで理解する力です。研究者・技術者は、通常の英語のビジネス文書の読解力に加えて、英語で書かれた特許や、専門的な科学論文、技術論文を読んで理解する読解力が必要です。
技術英語の4技法の中では、読解力は技術者として最も大切で、最初に身につけておくべき英語力です。海外の最新の研究論文や、海外メーカーの資料、特許等は英語で書かれているものが多く、英語の論文や技術資料が読めないと、インプットできる情報量が少なくなり仕事の範囲が狭まってしまいます。
技術英語の読解力は理系の学生さんでしたら研究室での研究活動、企業の研究者や技術者の方でしたら仕事の中で、英語の論文や技術資料、英語の特許などを読むことで鍛えることができます。
英語論文
まず、自分が関係する分野の論文から読み始めることをおすすめします。
たとえば自然科学系の論文雑誌として有名な、「Nature」や「Science」のウェブサイトでは、最新の研究成果が発表され、ウェブ上に公開されています。全文を読むには別途費用が掛かりますが、要約でしたら無料で読むことができますので、自然科学に興味のある方は一度読んでみてはどうでしょうか。
NatureやScience以外には、海外論文誌の代表的な出版社として、Elsevier(エルゼビア)やWiley(ワイリー)なども有名で、いろいろな分野の英文専門誌のアブストラクト(要約)を読むことができます。また、各学会や技術協会が独自で出版している英文誌などもありますので、そちらも参考になさってください。
【関連ウェブサイト】
・Nature
・Science
・Elsevier
・Wiley Online Library
海外の特許
米国特許商標庁や欧州特許庁のウェブサイトで特許を公開しています。
・United States Patent and Trademark Office – Patent Full-Text Databases:米国特許商標庁(USPTO)の特許検索
・Espacenet Patent search:欧州特許庁(EPO)の特許検索
海外の企業サイト
海外の企業サイトでは、英文でのパンフレットや技術資料、取扱説明書などを公開していますので、一度見られてはいかがでしょうか。
また、国内企業のサイトの多くは、英語サイトを開設していますので、自分の会社や関係のある企業の英語サイトを見てみるのも面白いです。
英語の論文や技術資料には、専門的な用語が多く含まれていますが、自分の専門分野の内容でしたら日本語でも使われている用語が多いので、とっつきやすいとおもいます。
しかし、専門外の内容になると、知らない単語が増えて一気に難しくなるので、技術英語の収録数の多いオンライン英語辞典や、技術英単語集を活用しましょう。
2.ライティング力(Writing)
英文ライティング力は、リーディング力とともに重要なスキルです。英語で論文を書いたり、技術資料を作成したり、E-mailやSNSを使って英文でやりとりする際に必要になります。
技術英語のライティングのポイントは、「正確」「簡潔」です。
文学的表現とか、まわりくどい言い回しは不要で、伝えたいことを簡潔な表現で正確に読み手に伝えられればOKです。
ある意味、技術英語ライティングは、テクニックを覚えればいろいろな場面で応用がききます。
3.リスニング力(Listening)
技術英語のリスニング力は、学会や講演会の発表を聞くことによって鍛えることができます。国際学会では、国内・海外問わず英語での講演や発表が多く、発表を聴くだけでもリスニングの練習になります。
また、学会や講演会に行くことが難しくても、インターネット上で英語の技術プレゼンを公開しているサイトはたくさんありますので、代表的なものを紹介します。
TED
TEDでは、英語でのプレゼンが多数収録されています。英語の勉強だけでなく、いろいろな人のいろいろな考え方やアイデアを聴くことができるので、研究者や技術者にとって単なる英語の勉強以上のものが得られます。
海外の研究機関
海外の大学の多くは、授業を動画で公開しています。また、研究機関以外でも大学レベルのオンライン講座を提供しているサイトがいくつもあります。いわゆるMOOC(Massive Open Online Course)というサービスで、インターネットを使えば、ハーバード大学やMIT、スタンフォード大学といったアメリカの一流大学の講義も日本で動画で見ることができます。英語の基礎的な事項の習得から、専門的な内容の講義まで幅広い内容の講座がありますので、試しに視聴してみるのはいかがでしょうか。
・Canvas Network
・Coursera
・edX
4.スピーキング力(Speaking)
スピーキング力は、他の3技法と比べて独学が難しく、実践での有効性が高いスキルです。
スピーキング力は学会で発表したり、海外の研究者や技術者と電話やスカイプでやりとりする中で場数を踏んでいくのが有効です。技術英語はライティングと同じくコツがあり、「正確」「簡潔」に表現できるテクニックが身につけば、使い回しがきくので実践で身につけていきましょう。
とはいっても、職場や学校の環境によっては難しい場合もあるので、最初は技術英語に対応した英会話教室や、オンライン英会話教室のレッスンを受けたりすることをおすすめします。